いよいよ、「ミドルシニアが挑む!デジタル化で実現する業務改革」の最終回、第6話をお届けします。DX推進に向け取り組む又は取り組みたいと考えている経営層や幹部の皆さんとお話しする中で、「何からやればいいのか?」「取り組んだ先には何が待っているのか?」という、期待と不安が入り混じってのご質問を多く伺います。そのような方々に向け、「こんな流れで、このように変化していきます。」というイメージを少しでも膨らませていただけるよう、物語仕立ての記事を連載してみました。文才的にはいかがなものか?と自分でも感じるところではありますが、「うちの会社だったら、こういうことかな」と思い描いていただけたら幸いです。
特に、「うちの会社は、パソコン不慣れなシニアも多いから」とお考えの皆様。学生の頃から、学校でも私生活でもデジタルに馴染んできた若手世代よりは、スキルアップ、スキル定着や現場活用まで長めのトレーニング期間を要するかもしれません。しかし、何十年にもわたってビジネスの現場で積み上げてきた知識や経験は、一朝一夕で他社に引き継げるものでもありません。ミドルシニアにもITやデジタルという新たな武器を獲得する研修などの機会提供により、世代間ギャップ無く全社員が、学び続け、教え合い、互いの強みを持ち寄って強調しながら働ける会社、そんな会社が一社でも増えたら良いなと願いつつ、今回の連載を終えようと思います。(筆者)
今回の最終話では、オンラインショップの本格運営に取り組む社員たちは、顧客満足度を高めるための対応やマーケティング施策を展開し、世代を超えた連携で新たなステップを踏み出していきます。シニア社員と若手社員が共に学び、成長する姿勢が企業全体に根付き、未来に向けた挑戦が続いていく最終話をどうぞお楽しみください。
目次
第一章:いよいよサービス開始へ
バックオフィス部門の社員たちがこれまでに取り組んできたオンラインショップの構築と改善は進み、いよいよサービス開始まで残り数日となった。リモートワーク導入から始まり、オンラインショップの開設までを振り返り、社員たちは、引き続きの前進を決意している。
社長の吉田も、ミドルシニア世代を中心に進めてきたデジタル化プロジェクトが実を結び、会社全体の雰囲気が変わりつつあることも感じている。
「皆さん、ここから更なる挑戦の開始です。会社として初の試みである、オンラインショップという新たな販売チャネルの運営通じて、より多くの顧客と直接つながり、信頼関係を築いていきましょう。」
社員たちは、サービス開始後ののステップとして、顧客満足度の向上を目指し、オンラインショップを活用した顧客対応やマーケティング施策などに思いを巡らすのであった。
第二章:顧客対応に見るデジタル化の成果
オンラインショップの運営が始まると、日々の顧客対応やフォローアップが重要な業務となった。かつては、パソコン仕事を若手世代に丸投げだったシニア社員たちも、研修を通じて学んだデジタルスキルを駆使しながら、顧客からの問い合わせ対応やフォローアップに貢献している。まだ、画面を前に苦戦することも多いが、それも含めて楽しんでいるように見える。仕事を通して、目に見えるスキルアップが図れることに満足を感じている者もいるようだ。
「以前は、こんなに迅速な対応ができるとは思っていなかったな。」
鈴木は、CRMシステムを活用することで、過去のやり取りや購入履歴をすぐに確認し、適切な対応ができることに驚きつつも、顧客からの信頼が高まっていくのを実感していた。問い合わせの度に、一元管理されていない顧客情報、購買情報や問い合わせ履歴情報を探し回り、随分と時間も労力もかけて対応していたデジタル化前の様子が頭をよぎり、思わず苦笑いである。
客観的なデータによらず、上司の主観のみで戦術や作戦が決定することも減った。オンラインショップを通じて得られたデータを活用し、次のアプローチや顧客満足度向上のためのアイデアを出し合う機会が増え、シニア社員も若手社員も積極的に意見を交わすようになっているのである。
第三章:マーケティング施策とデジタル活用の深化
顧客対応だけでなく、マーケティング施策にも力を入れ始めた。特にオンラインでのプロモーション活動を充実させ、より多くの顧リーチするために、SNSやメールマーケティングなどのデジタルツールを活用しての情報発信を始めた。
「お客様のニーズや反応を見ながら、リアルタイムでプロモーションを工夫できるのは面白いですね。」
佐藤は、シニア社員たちが若手社員に負けず劣らず、デジタルツールを使いこなす姿に感銘を受け、自分たちが学んだことが実践の場で活かされていることを喜んでいた。マーケティング施策を通じて、社員たちはさらに成長し、デジタル技術を駆使して顧客満足度向上を目指す姿勢も共有されている。
第四章:次なる目標に向けた結束
こうしてオンラインショップの運営を軌道に乗せ、顧客対応やマーケティング施策を充実させた社員たちは、次なる目標に向けて一層結束を固めた。社長の吉田は、これまでのデジタル化への取り組みと社員たちの成長を振り返り、さらなる挑戦に向けての意欲を高めていた。
「これからも、社員全員で協力し合いながら会社を成長させていきましょう。IT技術の進化が止まらないこの時代、デジタル化にゴールはありません。私たちの新たな基盤として、引き続き進化させていきましょう!」
吉田の言葉に、社員たちは力強くうなずき、今後の成長に向けて前向きな姿勢で挑戦を続けていくことを誓ったのであった。
こうして全6話を通じ、シニア社員も若手社員も共に成長し、デジタル化によって新たな企業文化が形成された。これからも社員全員が協力し、次のステージへ向けた挑戦が続いていく。
ここまでの振り返り
第1話:リモートワークの導入と社内の意識改革
社内でのリモートワークの導入を通じて、デジタル化の第一歩を踏み出したバックオフィス部門。パソコンの操作やオンラインでの連携に不慣れだったシニア社員も、リモートワークのメリットを理解し、ITツールを活用する意欲を高めていく。社長の吉田推進の下、社員全員がリモート環境に適応し、働きやすい環境を目指す意識が芽生えたのであった。(第1話はこちらから)
第2話:CRM導入による顧客管理の効率化
リモートワークに続き、顧客管理をデジタルで一元管理するためのCRM導入が決定。社員たちは顧客情報を瞬時に確認できるCRMの便利さを実感し、迅速かつ適切な顧客対応が可能になった。また、顧客満足度を意識した業務の重要性を学び、CRM導入によって業務効率が向上するだけでなく、顧客との関係も強化された。(第2話はこちらから)
第3話:オンラインショップ開設と「学び」の深化
CRM導入の成功を受け、次なるステップとしてオンラインショップ開設を計画。社員たちは、これまでのスキルに加えてマーケティングやウェブデザインの基礎も学び、デジタル化をさらに進めていく。また、シニア社員も学ぶことへの関心が高まり、社員同士が教え合い、デジタルスキルを共有する文化が醸成されていった。(第3話はこちらから)
第4話:顧客視点でのUI/UX改善
自分たちで作り上げたサイトに、広くフィードバックを受け付けることで、パソコン以外のデバイスでの操作性の問題や、顧客視点での使いやすさの重要性に気づく。社員たちは、技術だけでなく「人を中心にした設計」の重要性を再認識し、UI/UXの改善に取り組む。顧客満足度を重視したサービスづくりを目指す方針を再確認し、新たな改善を進めていく。(第4話はこちらから)
第5話:自社内でのITスキル底上げと世代間コラボレーション
シニア社員のみならず、全社員を対象とした社内IT研修を実施し、世代を超えたITスキルの共有と協力体制の構築を図ることに。若手とシニアが互いの得意分野を教え合いながら、スムーズなコミュニケーションとコラボレーションを目指す姿勢が醸成され、デジタル化が単なる業務改善だけでなく、社内文化として根付き始める。(第5話はこちらから)