今回は、「ミドルシニアが挑む!デジタル化で実現する業務改革」の第3話をお届けします。オンラインショップの開設に向けたプロジェクトが立ち上がり、社員たちはこれまで以上に入念なIT研修を開催し、マーケティングやウェブデザインの基礎も学びました。ミドルシニア世代が「学び」の楽しさに目覚め、社員同士が積極的に教え合う文化が醸成された様子も目立ち始め、デジタル化がさらに進む中、チーム全員が新しい挑戦に向けて一致団結していきます。
目次
第3話:オンラインショップ開設へ ― 学びと教え合う文化の醸成
- 登場人物
- 吉田 義男(よしだ よしお) – 経営者。会社全体のデジタル化を強く推進したいと考えており、リモートワークの導入に積極的。
- 鈴木 誠一(すずき せいいち) – バックオフィス部門のマネージャー。50代後半で、長年の経験に基づいて業務を進める保守的なタイプ。デジタル化に対して懐疑的だったが、吉田の意向を受け、少しずつ前向きに取り組み始める。
- 山田 太郎(やまだ たろう) – 東日本チームのリーダー。40代で、部門内では比較的柔軟な考えを持ち、変化を受け入れられるタイプ。ITに苦手意識はあるものの、時代の変化に合わせるべきだと考えている。
- 佐藤 美咲(さとう みさき) – 西日本チームのリーダー。30代でITリテラシーは高く、プライベートではリモートワークを取り入れている。デジタル化の推進に積極的。
- 田中 弘樹(たなか ひろき) – 東日本チームのメンバー。デジタル化には大賛成で、個人的に勉強してITスキルを少しずつ獲得している。業務にITを活かしていきたいという強い意欲を持っている。
- 村上 修一(むらかみ しゅういち) – 西日本チームのメンバー。これまでの紙ベースでの業務やマニュアル作成の中心的役割を担ってきた。自身の作ってきたものが無価値になるのではという不安から、デジタル化に抵抗感を持っている。
- 渡辺 健太(わたなべ けんた) – コンサルタント。鈴木や他のミドルシニア世代の社員と同世代で、これまで製造業、流通業、そして今回のような卸売業など、多様な業界でデジタル化を手掛けてきた。従業員と同じように、時代の変化に対応しながら働いてきた経験から、彼らの不安や悩みに寄り添い、安心感を与える存在。
第一章:オンラインショップ開設の決定
リモートワークの導入(第1話はこちら)、そしてCRM(顧客管理システム)(第2話はこちら)の成功を経て、会社全体のデジタル化は次の段階に進もうとしていた。社長の吉田は次の大きなステップとして、オンラインショップの開設を決断する。
「これまでの受注業務をさらに進化させ、オンラインで直接販売できる仕組みを作りましょう。新たな顧客層の開拓と、収益源の多角化を図るために、オンラインショップは不可欠です。」
吉田社長の強い意志に、社員たちはまた新たな挑戦が始まることを感じ取った。これまでと異なり、今回は、社内のデジタル化に留まらず、不特定の多くの人に提供することになるデジタル施策。そのため、マーケティングやウェブデザインといった、オンラインの世界ならではのスキルの学びが必要と考えられた。
第二章:これまで以上に入念な研修
オンラインショップの開設に向けた研修では、これまでのITツールの操作方法だけでなく、マーケティングやウェブデザインの基礎的な内容の理解にも焦点を当て、基本となる考え方や知識の習得も大切にした。コンサルタントの渡辺が再び講師となり、最新のマーケティング手法やユーザーインタフェース、ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)を考慮したウェブデザインの基本を教えた。
「オンラインショップは単に商品を並べるだけではなく、どうやって顧客にアピールし、スムーズに購入してもらうかが重要です。マーケティングの基礎として、まず顧客が何を求めているかを理解するところから始めましょう。」
渡辺の説明に、社員たちは真剣に耳を傾けた。特に、山田と佐藤は、プロジェクトリーダーとして、それぞれのチームを導きながら学びを実務に反映させようと意欲的だった。
「ウェブデザインって、見た目だけじゃなくて、使いやすさや顧客の視点も大切なんですね。まさに、お客様が商品を見て、簡単に購入できるような導線を考えないといけないんだ。」
佐藤は、今回の研修内容に特に興味を持ち、自分の知識を深めようとしていた。
一方で、村上もまた、これまでのデジタル化への抵抗感が薄れ、「学ぶこと」に対してこれまで以上に前向きな姿勢を見せ始めた。
「これまでの業務は決まった手順があって、それをしっかり守って進めていたが、デジタルツールを学ぶことで新しい手法がどんどん増えていく。今までの経験を活かしながら、これからはもっと柔軟に対応していけそうだ。」
村上は、ウェブサイト上での顧客の動きや、デザインがどのようにビジネスに影響するかを理解し、新しい知識を吸収することに意欲を燃やしていた。
第三章:社員同士が教え合う文化の芽吹き
今回の研修がこれまでと違って特徴的だったのは、ミドルシニア社員たちがこれまでに増して「教え合う」姿勢を強めていたことだ。新しいスキルや知識を学ぶ過程で、IT知識の多い社員が、初めて知識を学ぶ別の社員に対して自主的にサポートする場面が多く見られるようになったのだ。
「村上さん、この部分はこうやって修正すると、もっと見やすくなりますよ。」
田中が、村上にウェブデザインの基本を教えながら、具体的な操作方法を一緒に確認している。村上も、これまでのマニュアル作成で培った経験を活かしながら、田中から教わったデジタルの知識をすぐに実践していた。
「田中くん、ありがとう。最初に作っていたサイトより、随分と操作性が上がったように感じるよ。」
社員たちは互いに助け合いながら新しい知識を共有し、スキルの向上を図っていた。鈴木もまた、さまざまなITスキルの研修を受けていく中で「学ぶこと」に対して積極的になっていた。
「これまでは、講師の説明を聞くだけの受け身な研修が多かったけど、こうして、社員が集まって新しい知識を手に入れ、ワイワイ、ガヤガヤと手を動かしてみるのは楽しいもんだな。」
鈴木は、若手社員たちから新しいスキルを教わるたびに、これまでの経験を新たな形で活かせることに喜びを感じていた。
第四章:オンラインショップ開設への準備が整う
研修が進むにつれ、社員たちの意識は変わっていった。これまでの紙文化やアナログな手法に慣れ親しんでいたミドルシニア世代の社員たちが、デジタルツール導入を通じて「学ぶ楽しさ」を再発見し、会社全体でデジタル化への理解と受容は着実に進んでいる。
研修後も、オンラインショップのデザインが進み、マーケティング戦略も固まり始めた。
「オンラインショップは順調に進んでいますね。お客様にとって使いやすいサイトを目指して、これからも改良を続けていきましょう。」
吉田社長は、社員たちが力を合わせて学び、進化していく姿を見て満足していた。
「みんなの協力があってこそ、ここまで順調に進んでいます。これからも教え合いながら、一緒に会社を成長させていきましょう!」
エピローグ
オンラインショップの公開に向けた準備が進み、社員たちは次のステップへと進む準備を整えている。IT研修を通じて、学ぶ楽しさを再発見したミドルシニア世代の社員たちは、これまでの経験と新たに得た知識を融合させ、デジタルツールを活用して、これまで以上に積極的に業務に取り組んでいる。ミドルシニアと若手のコミュニケーションも、以前に増して活発になってきたようだ。
「学び続けることが、こんなに面白いとは思っていなかった。これからも新しい技術を身につけて、もっと業務を効率化していきたいですね。」
鈴木がそう話すと、他の社員たちも頷いている。オンラインショップの開設は、単なるプロジェクトとして機能するではなく、社員全員がデジタル化を通じて成長し、企業全体が新たなステージへ進むきっかけにもなっているのだ。
吉田社長も、この変化を喜んでいた。
「これまでの挑戦があったからこそ、今の私たちがあります。社員一人ひとりが成長し、教え合う文化を育ててくれたことが、今後のさらなる発展につながります。」
こうして、オンラインショップの開設という目標は、単なるビジネスの拡大ではなく、社員たちが新たなスキルを身につけ、共に学び合いながら成長していく企業文化の浸透へとつながっている。そして、ミドルシニア世代の挑戦と成長は、これからも続いていく。
次回、第4話では、オンラインショップの正式な立ち上げをテーマに、実際の運営やマーケティング戦略の展開を描きます。デジタル化の成功を受けて、次なる挑戦に向けて社員たちがどのように取り組んでいくのか、その成長と新たな挑戦をお楽しみに。