中小企業のDX推進!ミドルシニア社員にExcelからの学びを勧める理由!

中小企業のDX推進!ミドルシニア社員にExcelからの学びを勧める理由! DX推進

今回は、中小企業のDX推進において、ミドルシニア社員がExcelから学ぶことの重要性と効果を解説。この記事を読むことで、Excelスキルが具体的にどのようにDX推進に役立つのかをご理解いただけます。さらに、ミドルシニア社員がExcelを通じてDX推進の中心的役割を担うべき理由や、効果的なスキルアップ方法についても学べます。最終的に、ExcelからはじめてRPAやBIツールなど、より高度なDXツールへのステップアップについてもご紹介します。

ITスキルのリスキリングという言葉から、プログラミングやデータサイエンスなど、難しいものばかりを連想してはいませんか? もちろん、それらの学びがいずれ、どこかで活用できることは間違いありません。しかし、もし、「明日からでも、普段の業務で効果を発揮できることから学びたい」ということであれば、リスキリング内容にも優先順位をつけることが大切です。中小企業の経営者や人事担当者、そしてミドルシニア社員自身にとって、DX推進の具体的な戦略を立てる上でのお役立ち情報として、この記事をご活用ください。

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1. 中小企業がDX推進で直面している課題

中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する際、様々な課題に直面します。これらの課題を理解し、適切に対処することが、成功への鍵となります。

  • 人材不足とスキルギャップ
  • ITツールへの抵抗感
  • コストの制約
  • 経営層、マネジメント層の理解不足
  • 既存システムとの連携
  • データの利活用と分析

これらの課題に対処するためには、段階的なアプローチと継続的な取り組みが必要です。次章では、これらの課題に対する具体的な解決策として、Excelスキルの獲得・活用がどのように貢献できるのか詳しく見ていきます。

2. Excelスキルが中小企業のDX推進に役立つ理由

中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、Excelスキルは非常に重要な役割を果たします。多くの企業で既に利用されているExcelは、DX推進の入り口として、データの電子化や業務の電子化を実現する最適なツールの一つと言えます。以下では、Excelスキルが中小企業のDX推進に役立つ具体的な理由を詳しく解説します。

2.1 データ分析力の向上

Excelを、単なる文字や数字の入力ツールとしてだけではなく、本来的な表計算ソフトとしての機能を使いこなすことで、社員のデータ分析力が向上します。これは、DX推進において非常に重要なスキルと言えます。

2.1.1 Excel関数でデータ分析

Excelの関数を活用することで、複雑なデータ分析も可能になります。例えば、

  • VLOOKUP関数:大量のデータから必要な情報を素早く抽出
  • ピボットテーブル:データの集計や多角的な分析
  • IF関数:条件分岐を用いた高度な分析

こうした基本的な関数を使いこなせるようになるだけでも、データから有益な情報を引き出す能力が飛躍的に向上します。Microsoftの公式サイトには、Excel関数の一覧や詳細な使い方が紹介されていますので、一度、ページを眺めてみてください。上記のような基本的な関数の他に、統計関数や財務関数なども多く含まれ、きっと、「こんなに機能があったのか!」と驚かれるはずです。

2.1.2 データに基づいた意思決定

Excel関数を活用するなどして可視化したデータを加工し、経営判断や業務改善に活用できます。例えば、

  • グラフ機能:売上推移や顧客動向を視覚的に把握
  • 条件付き書式:重要なデータを瞬時に識別
  • What-If分析:様々なシナリオを検討

データに基づいた意思決定により、より効果的な経営戦略を立てることが可能になります。表形式に並べられている数字だけを眺めているよりも、より的確な判断を導き出す手助けになります。

2.2 業務効率化・自動化

Excelを活用することで、多くの業務プロセスを効率化・自動化できます。これにより、人的ミスの削減や作業時間の短縮を実現することができます。

2.2.1 簡単な数式でも出来る業務の自動化

基本的な関数、ピボットテーブルやグラフ機能を使うだけでも、多くの業務を自動化できます。

Excel機能自動化できる業務
SUM関数売上集計、経費計算
VLOOKUP関数在庫管理、顧客情報照会
ピボットテーブル、グラフ定型レポート作成、データ整形

これらの自動化により、従業員は付加価値の高い業務に時間を割くことが可能になります。

2.2.2 Excelを使った業務改善事例

実際の企業での活用事例を見てみましょう。

  • A社(製造業):生産計画をExcelで自動作成し、作業時間を削減
  • B社(小売業):在庫管理をExcelで一元化し、欠品率を改善
  • C社(サービス業):顧客データをExcelで分析し、リピート率を向上

既にシステム化が進んでいる場合でも、そのシステムでは、必要とする切り口の分析・レポート機能が実現されていないケースもあることでしょう。その場合は、システムからデータを取り出し(エクスポート、ダウンロードなど)、それをExcelに取り込んで、分析・加工するという業務フローも考えられます。

2.3 ITリテラシーの向上

Excelスキルを向上させることは、全体的なITリテラシーの向上にもつながります。これは、さらなるDX推進の基盤となることでしょう。

2.3.1 他のITツールへの応用力

Excelで培ったスキルは、他のITツールにも応用可能です。

  • データベースソフト:大規模なデータ管理
  • BI(ビジネスインテリジェンス)ツール:Power BIなどでの高度なデータ分析
  • プログラミング:ロジカルにデータを扱うことによるプログラミング的思考の育成

Excelを通じて得たITスキルは、より高度なDXツールの導入・活用の土台とすることができます。

2.3.2 デジタル化への抵抗感軽減

Excelは多くの従業員にとって馴染みのあるツールです。そのため、

  • ツール利用に対する心理的障壁が低い。
  • 成功体験を積みやすく、自信につながる。
  • 段階的なスキルアップが可能。

Excelを起点としたデジタル化により、従業員全体のITリテラシー向上と、さらなるDX推進への意欲醸成が期待できます

以上のことから、Excelスキルは、中小企業が、自社で割り当てられるリソース(予算、人員、時間など)に合ったDXの推進において非常に重要な役割を果たします。大規模な新規投資を必要とせず、低コストで導入できる(または、既に導入・使用している)ITツールを利用して、データ分析力の向上、業務効率化・自動化、ITリテラシーの向上といった様々な側面から、DXの基盤を築くことができるからです。

3. ミドルシニア社員こそExcelからDX推進を担うべき理由

中小企業のDX推進において、ミドルシニア社員が、先ずはExcelを起点としてデジタル化の旗振りを担うことが極めて重要と考えています。その理由を詳しく見ていきましょう。

3.1 豊富な業務知識と経験

ミドルシニア社員は、長年の勤務を通じて蓄積した豊富な業務知識と経験を持っています。この深い業務理解は、DX推進において非常に価値があります。なぜなら、

  • 業務プロセスの課題を的確に把握できる。
  • デジタル化すべき重要ポイントを識別できる。
  • 新しいツールやシステムの導入効果を予測しやすい。

総務省の調査によると、45~64歳の就業者のICT活用スキルは着実に向上していることが分かっています。この年齢層の豊富な経験とICTスキルの組み合わせは、DX推進に大きな力となります。

3.2 Excelの既存スキル

多くのミドルシニア社員は、長年の業務でExcelを使用してきた経験があります。既存のExcelスキルをある程度獲得済みであることが学習コストを下げ、DX推進の基盤として非常に有用です。今後、ミドルシニア層の中途採用の機会がさらに増えていくことでしょう。その時に、国内での利用シェアが圧倒的なExcelであれば、既存スキルを持っている方が多数と考えられ、スムーズなオンボーディングにもつなげられるはずです。

ExcelスキルDX推進への活用
関数の活用データ分析の基礎、業務プロセスの自動化
ピボットテーブル大量データの集計・分析、経営指標の可視化
マクロ(VBA)反復作業の自動化、カスタムツールの作成

これらのスキルを基に、より高度なデータ分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールへの移行が容易になります。例えば、ExcelからTableau、Power BIなどへのステップアップが考えられます。

3.3 社内での指導的役割

ミドルシニア社員は、組織内で重要な指導的役割を果たすことができます。彼らのDX推進への参画は、以下のような効果をもたらします。

  • 若手社員へのExcelスキルの伝承と、DX推進の重要性の啓蒙
  • 部門を横断した協力体制の構築と、全社的なDX推進の促進
  • 経営層とのコミュニケーションによる、DX戦略の具体化と実行

経済産業省のDXレポートでも、DX推進には組織横断的な取り組みが重要であると指摘されています。ミドルシニア社員の豊富な人脈と信頼関係は、この組織横断的な取り組みを実現する上で大きな資産となります。

3.4 変化への適応力と柔軟性

一般的に、ミドルシニア社員は「変化に抵抗がある」というステレオタイプがありますが、実際には彼らの変化への適応力は侮れません。「リスキリング」という単語が広まり、「学び直しが必要」と強調されるミドルシニア世代ではありますが、紙から電子へのシフト、電話から電子メールへのシフト、インターネットの活用の拡張など、実は、当たり前のように新しい業務要素にキャッチアップしてきました。そのような長年のキャリアを通じて、様々な変化や困難を乗り越えてきた経験が、DX推進における障壁を克服する力となります

具体的には、

  • 過去の経験から、変化のプロセスを理解し、効果的に対応できる
  • 若手社員の斬新なアイデアと、自身の経験を融合させた革新的なアプローチが可能

ミドルシニア世代のすべての社員が「静かな退職」のような働き方を望んでいる訳ではありません。「これからも、仕事を続けたい。社会の役に立ちたい。」といった想いで、新しい仕事や技術の習得に積極的なミドルシニア世代も少なくありません。こうした意欲のあるミドルにしあ世代の存在は、DX推進において大きな推進力となります。

3.5 コスト効率の高いDX推進

ミドルシニア社員を中心としたDX推進は、中小企業にとってコスト効率が高いアプローチとも言えます。

  • 既存社員のスキルアップにより、新規採用コストを抑制できる。
  • 業務に精通した社員が推進することで、外部コンサルタントへの依存度を下げられる。
  • 段階的なDX推進が可能となり、大規模投資のリスクを軽減できる。

特にExcelを起点とすることで、高額なソフトウェア投資を抑えつつ、できることから段階的にDXを進められるメリットもあります。

3.6 世代間ギャップの橋渡し

ミドルシニア社員は、若手社員とベテラン社員の間に立ち、世代間のギャップを埋める重要な役割を果たします。

役割効果
コミュニケーションの促進異なる世代間の対話を活性化し、相互理解を深める
知識・スキルの橋渡しベテランの経験と若手の新しい技術知識を融合
組織文化の維持と革新伝統的な価値観を尊重しつつ、新しい方法論を導入

若手社員とベテラン社員の間で意見や考え方の対立が起きた時に、一方を言い負かす・単に我慢させるということではなく、事なかれ主義で結論を先送りにするのでもなく、若手社員とベテラン社員双方の考えに理解を示しながら、両方が納得できる形で取りまとめてくれる社員。そのような社員として皆さんが思い浮かべる顔は、会社の中で会う程度経験を積まれてきた方の顔ではありませんか?

3.7 長期的視点でのDX推進

ミドルシニア社員は、短期的な成果だけでなく、長期的な視点でDXを推進する能力があります。

  • 過去の経験から、一時的なトレンドと本質的な変化を見極められる
  • 企業の長期的な成長戦略とDXの整合性を図ることができる
  • 持続可能なDX推進のための人材育成の重要性を理解している

この長期的視点は、DXを一過性のブームではなく、継続的な企業変革として定着させる上で非常に重要です

以上の理由から、ミドルシニア社員こそがExcelを起点としたDX推進の中心的役割を担うべきであり、中小企業のデジタル変革の成功に大きく貢献できると言えます。

4. ミドルシニア社員へのExcel研修の進め方

中小企業のDX推進において、ミドルシニア社員のExcelスキル向上が重要な第一歩となることを、ここまでご説明してきました。彼らの豊富な業務経験とExcelの基本知識を活かしつつ、新たなスキルを習得することで、企業全体のDX推進を加速させることができます。ここでは、効果的なExcel研修の進め方について詳しく解説します。

4.1 研修内容の具体例

ミドルシニア社員向けのExcel研修では、以下のような内容を段階的に学ぶことが効果的です:

レベル学習内容DXへの応用
基礎基本操作の復習、関数の基礎日常業務の効率化
中級ピボットテーブル、マクロの基礎データ分析、簡単な自動化
上級VBA、Power Query高度な自動化、データ統合

特に中級レベルのピボットテーブルやマクロの習得は、データ分析や業務自動化の基礎となるため、重点的に学ぶことをおすすめします。これらのスキルは、経済産業省が推進するDX施策にも合致し、中小企業のデジタル化に大きく貢献します。

4.2 効果的な研修方法

ミドルシニア社員の特性を考慮し、以下のような研修方法を採用することで、効果的な学習が期待できます:

4.2.1 ハンズオン形式の採用

座学だけでなく、実際にPCを使って操作を行うハンズオン形式の研修を採用しましょう。実践的な経験を重視するミドルシニア社員にとって、理論と実践を同時に学べるこの方法は非常に効果的です。

4.2.2 業務に即した事例の活用

研修で使用する例題や演習問題は、可能な限り実際の業務データや業務フローに即したものを使用しましょう。これにより、学んだスキルを即座に実務に活かせるイメージを持ちやすくなります。外部研修を取り入れる場合は、所定の教材だけではなく、自社の業務課題などを取り入れたカスタマイズなどのオプション対応が可能か、あらかじめ、確認すると良いでしょう。

4.2.3 グループワークの導入

個人作業だけでなく、グループでの課題解決やプロジェクト形式の演習を実施しましょう。これにより、参加者間でのスキル共有や、チームでのDX推進イメージを養うことができます。会社全体での生産性を上げていくためには、「全員が活用できる、使いやすい」アウトプットの作成が求められます。グループワークの実践により、UI/UXなども意見交換しながら進められることもメリットです。

4.2.4 段階的な学習プログラムの設計

一度に多くの内容を詰め込むのではなく、基礎から応用へと段階的に学べるプログラムを設計しましょう。研修のようなOff-JT機会だけではなく、OJTの一部に「Excelを活用した業務改善」を加え、業務の中で発生する課題・問題を解決しつつ、連動して、Excelスキルも向上していくというのが理想的です。おそらくは、ただの「学び」よりも、モチベーション高く臨めるミドルシニアは多いはずです。

4.3 研修後のフォローアップ

研修効果を最大化し、継続的なスキル向上を図るためには、研修期間後のフォローアップも不可欠です。以下のような取り組みを行いましょう。

4.3.1 オンラインサポートの提供

研修後も質問や相談ができるオンラインサポート窓口を設置しましょう。必ずしも、固定メンバーを相談窓口にすることはありません。TeamsやChatworkなどのビジネスチャットツールを活用し、誰かの質問・相談を、他の社員の誰でもが対応する、そのようなサポートも組織のデジタル化が活性化します。

4.3.2 フォローアップ機会の実現

定期的なフォローアップ機会として、実務での活用状況や課題を共有する機会を設けましょう。部門ごとのベストプラクティス発表会、社員で投票してベストな活用事例のMVP選出など、形はさまざま考えられます。学んだスキルの活用度・定着度を確認するために、社員全員がポジティブに参加できる機会を設けましょう。Excelの機能自体が進化しますしので、時には、新機能の説明セミナーのようなものも開催すると良いでしょう。

4.3.3 実践プロジェクトの推進

研修で学んだスキルを活かせる実践プロジェクトを立ち上げ、参加を促しましょう。例えば、部門横断的なデータ分析プロジェクトや業務改善提案コンテストなどが考えられます。実践的なプロジェクト参加は、社員のスキル向上と組織のDX推進に効果的です。

4.3.4 メンター制度の導入

研修を修了した社員の中から優秀な人材をメンターとして選出し、他の社員のサポートを行う制度を導入することも良いでしょう。これにより、組織全体のスキル底上げと、メンター自身のさらなるスキル向上も期待できます。

以上のように、ミドルシニア社員へのExcel研修を効果的に進めることで、中小企業のDX推進に大きく貢献することができます。研修内容、方法、そしてフォローアップを適切に設計し実施することで、ミドルシニア社員の潜在能力を最大限に引き出し、企業全体のデジタル変革を加速させることが可能となるのです。

5. Excel以外のDX推進ツール導入のステップ

中小企業のDX推進において、Excelは重要な役割を果たしますが、さらなる発展のためには他のツールも活用することが不可欠です。ここでは、Excel以外のDX推進ツールを段階的に導入する方法について解説します。

5.1 クラウドサービスの活用

クラウドサービスは、中小企業のDX推進において非常に有効なツールです。以下に、クラウドサービス導入の主なステップを示します。

  1. ニーズの特定:自社の業務課題を明確にし、どのようなクラウドサービスが必要かを見極めます。
  2. サービスの選定:コスト、機能、セキュリティなどを考慮し、最適なサービスを選びます。
  3. 試験導入:小規模なチームや部門で試験的に導入し、効果を検証します。
  4. 全社展開:成功事例を基に、段階的に全社へ展開します。
  5. 教育・サポート:従業員向けの研修やサポート体制を整えます。

クラウドサービスの導入により、場所や時間の制約なく業務が行えるようになり、生産性の向上が期待できます。特に、ガートナーの調査によると、日本企業のクラウド採用率は着実に上昇しており、中小企業にとっても重要な選択肢となっています。

5.2 ノーコードツールの導入

ノーコードツールは、プログラミングスキルがなくてもアプリケーションやシステムを開発できるツールです。中小企業のDX推進において、以下のような導入ステップが考えられます。

  1. ニーズの洗い出し:社内で自動化やデジタル化が必要な業務を特定します。
  2. 適切なツールの選定:業務に合ったノーコードツールを選びます。
  3. パイロットプロジェクト:小規模なプロジェクトで試験的に使用します。
  4. 成功事例の共有:成功したプロジェクトを社内で共有し、他部門への展開を促します。
  5. 能力開発:従業員向けにノーコードツールの使用方法を教育します。

ノーコードツールを活用することで、IT部門に依存せずに業務プロセスの改善や新しいサービスの開発が可能になりますガートナーの予測(英文)によると、テクノロジー製品とサービスの多数が、テクノロジーの専門家ではない人々によって構築されるようになると予測されていました。

5.2.1 ノーコードツールの例

ツール名主な用途特徴
Kintone業務アプリケーション開発ドラッグ&ドロップで簡単にアプリを作成可能
Zapierアプリケーション間連携異なるアプリやサービスを自動で連携させる
Power AppsWebアプリケーション開発ドラッグ&ドロップで簡単にアプリを作成可能

5.3 データ分析ツールの導入

データ分析ツールは、ビジネスインテリジェンス(BI)を強化し、データに基づいた意思決定を支援します。以下に、データ分析ツール導入のステップを示します。

  1. データ戦略の策定:どのようなデータを収集し、何を分析するかを明確にします。
  2. データの整備:既存のデータを整理し、必要に応じて新たなデータ収集方法を確立します。
  3. ツールの選定:予算、必要な機能、使いやすさなどを考慮してツールを選びます。
  4. パイロット分析:特定の部門や業務で試験的に分析を行います。
  5. 全社展開:成功事例を基に、他部門への展開を進めます。
  6. データリテラシー教育:従業員向けにデータ分析の基礎知識や手法を教育します。

データ分析ツールを効果的に活用することで、市場トレンドの把握や顧客ニーズの分析、業務効率の向上など、様々な面で競争力を高めることができます

5.3.1 データ分析ツールの例

ツール名主な特徴適した企業規模
Tableau直感的な操作でビジュアライゼーションが可能中小〜大企業
Power BIMicrosoftツールとの連携が容易中小〜大企業
Google Data Portal無料で使える基本的な分析機能を提供小〜中規模企業

これらのツールを段階的に導入することで、中小企業のDX推進をさらに加速させることができます。ただし、ツールの導入だけでなく、組織文化の変革や従業員のスキル向上も同時に進めることが重要です。また、導入後も継続的に効果を測定し、必要に応じて改善を行うことで、真の意味でのデジタルトランスフォーメーションを実現できるでしょう。

6. まとめ

中小企業のDX推進において、ミドルシニア社員の活用とExcelスキルの向上を連動させることは非常に効果的です。

若手労働力人口の減少が予想される中、人材不足やコスト制約などの課題を抱える中小企業にとって、既存の人材とツールを最大限に活用することが重要だからです。

Excelは、データ分析力の向上、業務効率化、ITリテラシーの向上など、多くの利点をもたらします。特にミドルシニア社員は、豊富な業務知識と経験を持ち、社内での指導的役割を担えるため、Excel研修を通じて、自らが学ぶだけではなく、組織内で教える側に回ることで、DX推進の中心的存在となることができます。また、具体的な研修内容や効果的な方法を実施し、フォローアップを行うことで、着実にDXを進められます。さらに、クラウドサービスやノーコードツール、データ分析ツールなど、Excel以外のDXツールの導入も段階的に進めることは、中小企業の競争力向上につながることでしょう。

人材育成『いまなび』