今回は、「ミドルシニアが挑む!デジタル化で実現する業務改革」の第2話をお届けします。リモートワークの導入を成功させたバックオフィス部門が、次なるステップとしてCRM(顧客管理システム)を導入し、顧客管理の効率化に挑みます。紙ベースの管理からデジタル化へと変革を進める中で、社員たちがどのように新しいシステムに適応し、業務を改善していくのかを物語形式でご紹介します。皆様の職場でも参考にしていただけるヒントが見つかるかもしれません。
目次
第2話:CRM導入で顧客管理を強化 ― データの力で業務効率を飛躍的に向上
- 登場人物
- 吉田 義男(よしだ よしお) – 経営者。会社全体のデジタル化を強く推進したいと考えており、リモートワークの導入に積極的。
- 鈴木 誠一(すずき せいいち) – バックオフィス部門のマネージャー。50代後半で、長年の経験に基づいて業務を進める保守的なタイプ。デジタル化に対して懐疑的だったが、吉田の意向を受け、少しずつ前向きに取り組み始める。
- 山田 太郎(やまだ たろう) – 東日本チームのリーダー。40代で、部門内では比較的柔軟な考えを持ち、変化を受け入れられるタイプ。ITに苦手意識はあるものの、時代の変化に合わせるべきだと考えている。
- 佐藤 美咲(さとう みさき) – 西日本チームのリーダー。30代でITリテラシーは高く、プライベートではリモートワークを取り入れている。デジタル化の推進に積極的。
- 田中 弘樹(たなか ひろき) – 東日本チームのメンバー。デジタル化には大賛成で、個人的に勉強してITスキルを少しずつ獲得している。業務にITを活かしていきたいという強い意欲を持っている。
- 村上 修一(むらかみ しゅういち) – 西日本チームのメンバー。これまでの紙ベースでの業務やマニュアル作成の中心的役割を担ってきた。自身の作ってきたものが無価値になるのではという不安から、デジタル化に抵抗感を持っている。
- 渡辺 健太(わたなべ けんた) – コンサルタント。鈴木や他のミドルシニア世代の社員と同世代で、これまで製造業、流通業、そして今回のような卸売業など、多様な業界でデジタル化を手掛けてきた。従業員と同じように、時代の変化に対応しながら働いてきた経験から、彼らの不安や悩みに寄り添い、安心感を与える存在。
第一章:新たな挑戦 ― CRM導入の決定
リモートワークの導入を成功させ、業務効率が向上したことで、バックオフィス部門のスタッフたちは次なる挑戦に備えていた。吉田社長は、このタイミングでCRM(顧客管理システム)の導入を決断した。
「次はCRMです。これまで紙で管理していた顧客情報をデジタル化し、受注から配送指示までのプロセスを効率化することができれば、さらに業務がスムーズに進むはずです。」吉田は社員全員に向けて力強く語りかけた。リモートワークの成功が、社内にポジティブな変化をもたらしていた。従業員たちの間にも、デジタルツールに対する理解と期待が広がっていた。
鈴木誠一は、まだ少し不安を感じていたものの、吉田の話を聞き、次なる挑戦に向けて意欲を高めていた。「CRM…顧客情報をデジタルで管理か。確かに便利だろうけど、紙ベースでの管理とは全く違う世界だな。」
渡辺健太はそんな鈴木の表情を読み取り、笑顔で声をかけた。「鈴木さん、心配はいりません。CRMは単なるツールですが、使いこなすことで、これまでの顧客対応が驚くほど楽になりますよ。私も昔、デジタル化に直面したときは同じような不安を感じていました。でも、慣れればその価値が実感できるはずです。」
鈴木はその言葉に少しだけ安心し、前向きに考えるようになった。
第二章:CRM研修の始まり
数日後、渡辺を講師に迎え、CRMの導入に向けた研修が開始された。会議室には再び全員が集まり、パソコンの前に座っている。渡辺は画面にCRMのデモを表示しながら、基本的な機能の説明を始めた。
「CRMは、顧客情報を一元管理し、データの可視化によって、誰でもすぐに顧客情報にアクセスできるようにします。受注から配送、そしてその後のフォローアップまで、すべてをこのシステムで管理できます。これにより、紙の手作業でやっていた業務が大幅に簡素化されるんです。」
スタッフたちは興味深そうに画面を見つめながら、渡辺の説明に耳を傾けていた。
「例えば、鈴木さんが顧客Aさんからの問い合わせを受けたとします。このシステムなら、顧客Aさんの購入履歴や対応履歴がすぐに表示されるので、電話中でも即座に過去のやり取りを確認し、適切な対応ができるんです。」
鈴木はパソコンの前でCRMの画面を操作してみた。
「なるほど…確かに、これなら顧客の情報が一目瞭然だ。」
田中弘樹も同じように操作を試み、すぐにその便利さに気付いた。
「これ、便利ですね!今まで書類を探し回っていた時間が大幅に減りそうです。」
しかし、村上修一はまだ少し戸惑いを隠せずにいた。
「このシステムで、これまでの顧客台帳は全部デジタルに変わってしまうのか…」
渡辺は村上のつぶやきを聞き、優しくフォローした。
「村上さん、確かにデジタルに移行することで、これまでの方法と違って感じるかもしれませんが、あなたが作った顧客台帳の内容は、このシステムの中に組み込まれていくんです。むしろ、その経験をもとに、どうすればデジタルで管理する顧客情報がさらに使いやすくなるか、一緒に考えていただければと思っています。」
村上はその言葉に考え込んだが、次第に理解を示し始めた。
「今までの知識を活かす…か。なるほど、それなら俺も何か役に立てるかもしれないな。」
第三章:実践!CRMの導入で業務が変わる
研修を終えた後、実際にCRMを使った顧客管理がスタートした。初めは操作に慣れないスタッフもいたが、渡辺のサポートのもと、少しずつシステムの操作に慣れていった。
「村上さん、この前の顧客リスト、CRMに入力しましたか?」
佐藤美咲が村上に声をかけた。
「ああ、やったよ。思っていたよりも簡単だった。今までは紙で何度も書き直していたけど、このシステムなら一度入力すれば修正も楽だし、情報がすぐに全員と共有できるんだな。」
村上は、自分の経験を活かし、これまでの台帳管理のノウハウをもとに、効率的な入力方法を編み出していた。さらに、顧客対応が必要な場面でも、CRMを使うことでより迅速な対応が可能になり、社内の業務効率が一気に向上した。
「この顧客は、先月の注文でクレームがあったから、しっかりフォローしないとな。」
村上が顧客リストを確認していると、CRMが自動的に過去のクレーム履歴を表示してくれたため、次の対応がスムーズに進んだ。
一方、鈴木もCRMの利便性を実感していた。
「こうしてデータが整理されると、どの顧客にどのタイミングでフォローアップすればいいかがすぐにわかるな。以前は、過去の書類をめくり返して確認していたけど、今は瞬時に情報が手に入る。」
吉田社長も、CRMの導入が順調に進んでいることに満足していた。
「鈴木さん、CRMのおかげで顧客対応が一段とスムーズになりましたね。これで受注管理も大幅に効率化できると思います。」
鈴木は、社長の言葉に笑顔で答えた。
「確かに、これまでのやり方とは違うけど、CRMの導入で業務がかなり楽になりましたね。データが整理されていると、次に何をすべきかが一目でわかるのは便利です。」
鈴木はCRMの操作に自信を持ち始めていた。これまで紙の台帳に頼っていた顧客管理は、デジタルの力によって大きく変わり始めていた。
さらに、CRMの導入により、受注から配送までの流れが一気にスムーズになった。吉田社長はこれに満足し、次の一歩として、さらに顧客との関係を深めるための新しい仕組みを考えていた。
第四章:次なる挑戦 ― オンラインショップの開設へ
CRMの導入によって業務効率が飛躍的に向上したことで、吉田社長は新たなビジネスチャンスを見据えていた。それは、オンラインショップの開設だ。従来の受注業務だけでなく、オンラインで直接顧客に販売できる環境を整えることで、新たな収益源を生み出すことができると考えたのだ。
「次はオンラインショップの開設です。これまでの顧客管理に加えて、デジタルツールを活用して、新しい顧客をオンラインで獲得していく時代に突入します。」
吉田社長は自信に満ちた表情で、社員たちに次のステップを宣言した。CRMの成功体験が、全員に大きな自信を与えていた。
「このまま順調にいけば、オンラインショップもきっと成功するはずだ。次は、その準備を進めていこう!」
鈴木をはじめ、スタッフ全員が次なる挑戦に向けて意欲を燃やしていた。
エピローグ
CRM導入から数ヶ月が経ち、会社全体の業務は見違えるほど効率化されていた。顧客対応が迅速に行えるようになり、受注から配送までの流れもスムーズに管理できるようになった。ミドルシニア世代の社員たちも、最初は不安や抵抗を感じていたが、実際に使ってみることでデジタルツールの便利さを実感し、自らの業務に積極的に取り入れるようになっていた。
そして、次のステップとして、オンラインショップの開設に向けた準備が始まろうとしていた。
「デジタル化がここまで進んだのは、皆さんの努力のおかげです。これからも一緒に、さらに新しい挑戦に取り組んでいきましょう!」
吉田社長の言葉に、社員たちは力強くうなずいた。ミドルシニア世代の挑戦と成長の物語は、まだ続いていく。
次回、第3話では、「オンラインショップの開設」をテーマに、さらなるデジタル化の挑戦が始まります。CRMで得た経験を活かし、ミドルシニア世代がどのようにしてオンラインビジネスの成功を目指していくのか、その成長と挑戦を描きます。次回もお楽しみに。